好日

今日も、秋晴れ。

平日はゆったりとひとの流れを感じられるから、こころもわりと穏やか。

来る人、来る人とゆっくりと言葉を交わす。

そんな時間が、とてもすきだ。

気心の知れたひとであれば、それもまた特別。

ありがたいし、うれしい。

、、

十五時を少し過ぎた頃かな、

生豆の整理をしていたら、ひとりの女性が歩いてこられた。

杖をつきながら、僕の姿を見て、「珈琲飲めますか」、といった。

店内へと促し、入ってこられた。

そのひとは、何度か来たことのある女性。

足を悪くされているから、ベンチでゆっくりとされることをすすめた。

その女性は、入ってすぐに、お花をみて、「いつもきれいにされていますね」と話してくれた。

「いまは、お祝いのお花もあって、一段と多いんです」と伝えると、

こういうお店は、ほかにはないね。

と言われた。

「静かで、いいところですね」とも話してくれた。

大事にしていることを、ひとつひとつ、伝えてくれる。

気付いてくれることへの嬉しさに、年齢は関係ないけれど、

長く生きてこられ、いろんなものをみてきたひとだからこその、伝わるものがある。

穏やかな表情をされていて、ゆっくりと話すその声に、こちらも安心を覚える。

春日井のいまの家を、娘さんに譲るからと、二人いる、もうひとりの娘さんのところへと、そのひとは引っ越しをします、と教えてくれた。

おなじ県内ではあるけれど、ふらっとはなれない場所。

引っ越しは、なかなかに大変。

ゆっくりと、無理をされないことを願った。

その女性がみえて、少し経ったくらいに、玄関から賑やかな声が聴こえてきた。

閉店も近い夕方頃というのに、店内は賑やかな声がひろがった。

その女性が、お客さんを連れて来てくれたんだなあ、と、

片付けをしながら、そう想うのでした。